
日本における提燈(提灯)の歴史は、遠く室町時代にさかのぼるといわれています。
ろうそくなど仏教の供灯用具が中国より伝えられ、その後、安全で携帯性にも優れた提燈が登場しました。提燈は、時代とともに仏具から日常生活の照明器具として普及し、現在では、日本の慣習や信仰といった文化の担い手としてその存在を定着させています。
今回は、そんな提燈の歴史を変形の過程に着目しながら見ていきたいと思います。
室町時代
【かご提燈】
かごの中に2本の柱を通して、上部に把手を付けた形の提燈。この型が日本における提燈の初期型であるといわれており、その後、折たたみの可能なかご提燈も登場した。
安土桃山から江戸時代初期
【張輪無し提燈】
かご提灯に見られたような2本の柱や張輪の部分がなく、紐で吊して使用する不安定で簡易型の提燈が登場。
<簡易型になった理由>
1)仏具として大切に使用されていた時代から、盆踊りや祭礼など一般 庶民の生活に普及したため
2)戦場でも使用されていたという例などから、質より量の生産が望まれたと考えられるため
【箱提燈】
上下に箱状のフタをかぶせ、筒型の火袋を収納できる提燈が登場。箱提燈の中でも箱長形は大小2種類あり、大型のものは現在の住吉提燈の原形で、奉納・門提燈として現在もその姿を残している。小型のものでは小田原提燈が有名で、江戸時代には旅行用として盛んに用いられた。
【ブラ提灯】
かご提燈以来の張輪が付き、棒から紐で吊り下げる提燈が登場。18世紀にはさらに外輪が補強され造りも丈夫になる。箱提燈ほど機能的ではないが簡易型で安価なため、店舗での客の送迎によく用いられた。
【高張提燈】
高所から灯りをとるための提燈が登場。当初(17世紀中頃)は、長い棒の先に吊すだけの簡易型だったが、17世紀末になると、屋根付きで上下に腕木を付けた棒の間に張られるようになった。
また、目印としての性格も強いため、現在でも祭礼行列の先頭などでよく見かけられる。
【弓張提燈】
弓を張り火袋を固定させた提燈が登場。点火したまま床置きが可能で、また激しい動きにも対応できるため馬上提燈としても用いられた。
弓は、現在竹製が多いが、当初は鯨のヒゲも使用されていた。
箱提燈よりも軽く、ブラ提燈よりも安定性に優れたこの提燈は、日常の移動用照明器具として広く用いられ、現在では装飾性もかわれてバリエーション豊富に展開している。
現代
古来から伝わる伝統的な提燈はもちろん、アートとして独創性の高い提燈も生みだされており、今後も芸術作品として価値ある継承及び創造が続けられるものと考えられる。
